第37章 戦国狂想曲1幕(信長VS謙信/共通)
「ん…」
何だか騒がしい気配に目が覚めた。
身体を起こすと、もう陽が昇っている。
寝坊しちゃったかも。
まだ眠い目をこすりながら夜着を脱ぎ、着物を羽織っていると、慌ただしい足音が聞こえて来た。
「迦羅!大変だ、早く…」
ガラリと襖を開け放った秀吉さんと目が合う。
「きゃああああーーー!!」
「あ!わ、悪い!」
ぴしゃりと襖を閉める秀吉さんだけど
完全に見られたよね!?
女性の部屋をいきなり開けるなんて信じられないっ!
「秀吉さんの助平!変態!」
文句を言いながら急いで着替えを済ませた。
ガラッ
支度を終え襖を開けると、バツの悪そうな顔をした秀吉さんが居た。
「ごめん、悪かったよ…」
「おかげで目が覚めました」
ジロリと睨むとまた申し訳なさそうにしている。
「で、何が大変なんですか?」
「そうだっ!!とにかく来てくれ!」
手首を掴まれて、広間の前に来ると、縁側に見覚えのある姿。
ん?
ええぇ!?
「佐助くん!?」
「やあ、迦羅さん」
元気だった?とか言ってるけどそれどころじゃないでしょ。
縁側に腰掛け、悠々とお茶を飲む佐助くん。
「ちょっと何してるのっ??」
「今日は堂々と門から入ってみたんだ」
「………」
私が聞きたいのはそこじゃない!!
相変わらずすっとぼけている佐助くんに、この上ない不安を覚えた。
「迦羅、見てみろ」
秀吉さんに促されて庭を見ると、そこにはまたとんでもない光景ー。
刀を抜き、視線の間に火花を散らした二人…
それはまさに信長様と謙信様だった。
まるで戦場のような空気が漂っている。
えーっと…何がどうなってこうなってるの?
さっぱり状況が掴めずに、私は固まってしまった。