第36章 濃密至上主義(伊達政宗/甘々)
その日の夜、政宗は用があると呼ばれて城に出掛けていった。
私は夕餉の後片付けをしたあと、湯浴みさせてもらって、政宗の帰りを待っている。
夜に呼び出しなんて…
何か悪いことが起こったんじゃなければいいけど。
どのくらい待ったかー
なかなか帰って来ない政宗。
ころんと布団に転がってみる。
昼間にあれだけくっついていたのに…居ないと思うと、こんなにも寂しいものなんだ。
早く、帰って来ないかな…。
早く、逢いたいなぁ。
…………。
ドサッー
何かが倒れるような音がして、身体に衝撃を感じた。
「ん…政宗…?」
暗がりの中で身体を起こせば、私の隣に政宗が居る。
っていうか、今倒れたのっ!?
「政宗!政宗!」
「んー…好きだぞ…迦羅」
はい?
寝ぼけてるの?
いやいや、今帰って来たんだよね。
「迦羅ー、大好きだ…」
「政宗?」
あっ、仄かにお酒の匂いがする。
政宗は呑めないはずだから、また光秀さんあたりに何らかの手口で呑ませられたんだ…。
もう、呑めないってわかってるのに。
「迦羅ー…」
酔っ払いながらも名前を呼んでくれる政宗に、くすぐったい気持ちになる。
しょうがないなぁ、お酒呑むとすぐ寝ちゃうから、政宗は。
私も政宗と向かい合うように横になり
腕を伸ばして、ポンポンとあやすように背中を撫でる。
ほんの少し赤くなった政宗の頬。
いつもの強引な顔とは違って、やけに可愛い。
「…政宗。私も、大好きだよ」