第36章 濃密至上主義(伊達政宗/甘々)
ポン、ポン
規則的に柔く撫でられた背中が心地いい。
ふわふわする感じがするのは…
そうだ。
光秀の奴、また俺の水に酒を混ぜやがった。
毎度毎度油断も隙もあったもんじゃねーな…
ふわっ
ん?甘いな…
何かが頬に触れ、微かな香りに瞼を持ち上げる。
「迦羅?」
ああそうか。酒を呑まされても、こうして俺はちゃんとお前のとこに帰って来たんだな。
歩いて来た記憶はないが。
迦羅の顔にかかる髪を耳にかけてやる。
お前はいつも幸せそうな顔して寝てんだな。
一体どんな夢見てんだ?
誘われるように頬に掌を添えれば、ゆっくりと迦羅の瞼が持ち上がった。
「…あれ…政宗、起きてたの?」
「ああ。目が覚めたとこだ」
「そっか…おかえりなさい」
「ただいま」
目が覚めるとお前が居て笑ってくれる。
手を伸ばすとお前に触れられる。
これって幸せなことだよな…。
チュッ。
軽い口付けを迦羅の額に落とし、緩い微睡みに誘われる。
どちらからともなく、ギュッと身体を抱きしめ合って目を閉じた。
…たまにはこんな夜もいいか。
トクトク…トクトク…
やっぱり、これだけ密着してればこうなるよな。
高まっていく鼓動を感じ、半ば呆れたように唇の端が上がった。
「政宗…もう寝ちゃうの?」
「ー!?」
迦羅の声に反応して目を開けると
寂しそうに俺を覗き込んで…
背中に回された手が着物をキュッと掴んでいる。
…あーもう。
そんな可愛いことされたら、寝ろって言われても寝れねぇだろーが。
結局俺の我慢は空回りってことか。
お前には敵わないな、迦羅ー。
「何だよ、また欲しくなったのか?」
「うん…」
「お前が誘ったんだからな、覚悟しろよ」
ただ抱き合って眠るだけの夜は遠いようだ。
だが、求めて求められて、そうして疲れ切って眠るほうがいい。
愛し合う俺達には、そんな夜が似合いだろ?
ま、夜と言わずに朝も昼も
いつだって俺は、お前の肌に触れていたい。
それだけお前に溺れてるってことだ。
完