第34章 琥珀色の蜜事（明智光秀／裏）

はあ…はぁ…


息を整えようと深呼吸している間、光秀さんの優しい手が私の背中を撫でる。

「…光秀、さん」

呼吸が治まると両手で頬を挟まれ、真っ直ぐに見つめられる。

「お前は可愛いな、迦羅」

「ーっ！？」

甘やかすような声が、また心臓を騒めき立たせた。
意地悪ではない微笑んだ顔が近付き、どこまでも甘い口付けをもらう…。



光秀さんが見せるどんな表情も…こんなに私をおかしくさせてしまう。
ほんの少し離された唇が、もどかしい。

「まだ離してはやらない」



しゅるりと帯を解いた手は
背中を押さえるように、私を布団に寝かせる。

そのまま覆い被さった光秀さんが、私の浴衣を左右にはだけさせながらも急くように唇を落としていく。

首筋から、鎖骨、胸、脇腹…

まだ敏感になったままの身体は、どうしようもない愛しい熱に溶かされていく。



「また濡らしているな」

足を持ち上げながら、一番敏感になっている場所を舌がなぞる。

「あんっ！…い、やああぁっ」

先程肌で感じた舌の熱とはまるで違うみたいに、熱くて堪らない。

「嫌ならやめるか？」

「や…やめたら、嫌…」

「いい子だ」


ピチャッピチャ…じゅるっ


「あぁぁあっ、んっ…ああぁ！」

恥ずかしいくらいの水音と抑えられない声ー
二人きりの離れに響く。


無意識に光秀さんに手を伸ばすと
それに応えるように、指を絡めてキュッと握ってくれる。

大好きだよ…光秀さん

早く、私を全部、光秀さんのものにして…。


言葉にはならず、絡められた手を引く。
顔を上げた光秀さんと目が合って…気持ちが伝わる。

「もう待てないか？」

薄っすら唇の端を持ち上げた光秀さんに問われ、頷く。
膝立ちの光秀さんは浴衣をぱさりと脱ぎ捨て、男らしい締まった身体が近付く。


両足を左右に開かれて、痛いくらいの光秀さんの熱が私を貫く。

「んっ！ああああーっ…!!!!」

寄せては返す波のように
打ちつけられる快感。

「あんっ…ああっ」

私の顔の横に両方の肘をついた光秀さんが
そのまま私の頭を抱えるようにして、額をくっつけた。

「…気持ちが、いい…か」

「ん、気持ち…いい」

光秀さんも…私の中で感じてる…
余裕のない声が、そう伝えてくれている。



「迦羅、…迦羅」