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【イケメン戦国】✿ 永遠の恋〜華〜 ✿

第30章 紺碧の涙・前編(上杉謙信/悲甘)


それから二日後、まだ陽の高い頃に一仕事終えた私は、城の人に断って城下外れの野原に来ていた。


いつだったか、謙信様に連れられて来たっけ。

痛い思い出もあるけど、謙信様と一緒に見たこの景色に会いたくなった。




ぽかぽかとした陽気が心地良い。
腰を下ろすと、小さな草花の淡い香りに包まれて、自然と心の中には謙信様の優しい顔が浮かんでいた。



…変なの。
ついこの間見送ったばかりなのにね。

恋してるって、きっとこういうことなんだ。



「…早く逢いたいなぁ」


ぽつりと溢れた時だった。











ゴロゴロ…ゴロゴロゴロッ




え、雷?

見上げた空は晴れているのに。


でも、雨が降り出す前に城に帰ろうと立ち上がり、早足で歩き始めた。
頭上の空は急激に灰色に変わっていく。


嫌だな、いよいよ降ってきそう。


野原を出る手前で、突然大粒の雨が降り注いだ。


「わっ!いきなり土砂降り!?」


でも、すぐ近くには雨宿りできそうな場所がなく、ずぶ濡れになりながら先へと走った。






いくらか走ると、少し奥まった所に小さな神社が見えた。
このまま城までは戻れる気がしなくて、その軒先に駆け込む。


「すみません、少し軒先をお借りしますね」

この小さな神社は無人なんだと思うけど、一応声をかけておこう。





ザァァーー



一向に止む気配のない雨。
あたりは冷たい空気が立ち込めている。


はぁー、ついてない。


私はいつ止むとも知れない雨空を見上げていた。










ゴロゴロゴロゴロッー!!!!



耳をつんざくような凄まじい雷鳴に思わず目を閉じる。


その瞬間身体がグラリと揺れた。

目を開けると、灰色の靄がかかったように視界がぼやけていく。

「っっ!!」


この感じ…何処かで…










まさか、ワームホール!?







そんなはずない
だってあれ以来現れる可能性はほぼないって佐助くんがー



違う!絶対に違う!





私はもう何処へもいかないんだからっ…








恐怖を振り払うようにきつく目を閉じた。




また遠くで雷が鳴るー
私の意識が途絶える間際、誰かが呼ぶような気がした。










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