第27章 夜の姫はご乱心!?②(秀吉ルート)
御殿の部屋に着き、用意された布団の上に迦羅を下ろす。
見れば、顔を伏せてシュンとしている。
まるで、怒られた仔犬でもあるかのように。
「そんな顔をするな」
ぽんぽんといつも通り頭を撫でてやるが、表情は変わらない。
悪酔いしたことを余程気にしているのか?
こいつの性格だから、やっぱり俺に迷惑をかけたと思ってるんだろうな。
くしゃくしゃっと髪を乱してまた頭を撫でると、ようやく顔を上げた。
「可愛い顔が台無しだぞ?」
「うん…」
少しだけ和らいだ顔に、言いようのない愛しさがやって来た。
思わず身を乗り出し、柔らかな唇を奪う。
「んっ…!」
驚いて一瞬息を詰める迦羅は、唇が離れると一気に頬を染めた。
いつまで経っても慣れないその反応に、トクンと鼓動が跳ねる。
「そんな顔をしてるお仕置きだ」
「ふふっ」
ようやく笑った迦羅に安心して、台所へ水を取りに行く。
だいぶ酔いが覚めてきたようだが、明日に残ったらいけないしな。
汲んだ水を手に部屋へ戻る。
襖を開けると、迦羅が着物を脱ぎ始めていた。
「お、おいっ」
思わず声を掛けると、振り返った迦羅は小首を傾げる。
「こんな綺麗な着物、汚したらいけないと思って…」
あ、あぁ、そういうことか。
っていうか俺は何故焦ったんだ?
帰ったら着替えるのは当たり前だろう…。
衣桁に晴れ着を掛ける迦羅の後ろ姿を何となく見ている。
薄い襦袢一枚になったその身体は、柔らかな曲線が良くわかる。
今日は長い髪を上げているからか、晒されたうなじが色香を放っているようだった。
無意識のうちに俺の足は、静かに迦羅へ引き寄せられるように歩み寄っていたー。