第25章 夜の姫はご乱心!?(織田軍/共通)
家康と三成の普段と変わらないやり取りを見ていた秀吉は、呆れながらもその場から迦羅を呼ぶ。
「そう次々に呑むと、悪酔いするぞ」
「そうだね…ごめんなさい」
今日はやけに皆の目が迦羅に向けられている。
まぁ、俺もそのうちの一人だが。
すると隣から信長が声を掛ける。
「秀吉、つまらぬことを言うな」
「しかし信長様、呑ませ過ぎては…」
「迦羅が呑みたいのであれば、好きなだけ呑ませてやれば良い」
まぁそうか。
迦羅も日頃頑張ってくれてるからな。
これが良い息抜きになるなら、小言を言うのはやめるか。
酔い潰れたのなら…俺が世話してやればいいだけだ。
秀吉と信長の間に座っている迦羅は、すっと伸びてきた腕に掴まれて、信長のほうを向かされていた。
「今宵の酒は美味いか?」
「はい!とっても美味しいです」
迦羅の姿を眺める信長の目もまた、色を含んでいる。
やはりこの女は飽きることがない。
どのような表情も、俺の心をくすぐって仕方がないのだ。
俺の知らぬ顔をもっと見たい。
ゆっくりとではあるが、酒を呑みすすめる迦羅を、一同は興味深い様子で眺めている。
薄く染まった頬、香り立つ色香。
程良く酔っているのが伝わってくる艶っぽい表情。
このまま酒を呑み続ければ…一体どのような姿を見せるのか。
言わずとも皆が同じことを考えていた。
ところで、と口を開いたのは光秀だった。
「お前は本当に酔うとどうなるのだ?」
それはまさに皆が知りたいところだった。
他の武将達は、良くぞ聞いた光秀!とばかりに、迦羅の答えを待っている。
「うーん…」
困ったようにして迦羅が考え込む。
そして…
「私は、人肌が恋しくなっちゃうみたいです…」
ーーー!!?
酔っているとはいえ、思いもよらない大胆な答え。
ごくり、と皆が息を呑むのがわかった。