第25章 夜の姫はご乱心!?(織田軍/共通)
いい呑みっぷりだ。
いつもならすかさずからかってやる所だが…何だ…
今日のお前があまりにも眩しくて、調子が狂う。
心なしか頬が薄紅に染まってきた迦羅に、光秀は一気に顔を近付け覗き込む。
「その調子でどんどん呑め」
そう言う顔には、悪戯な笑みが浮かんでいる。
至近距離で覗き込まれている迦羅は、あまりの近さに更に頬を染めた。
だが、距離をそのままにして俺の目を真っ直ぐ見つめる。
っっ…!
普段は見せない妖艶な表情に、光秀のほうが目元を染めた。
それを見ていた家康が今度は口を開く。
「あまりからかわないでもらえます?すぐ本気にするから」
心配なのか馬鹿にしているかわからない口振りで、自分の元へと迦羅を呼んだ。
「光秀さんの酒は強いから、調子にのらない」
そう言って、家康は自分の酒を注いでやる。
それを呑んだ迦羅は、また笑顔になった。
「あ、このお酒は優しい味がする」
「あんたには、こっちのほうがいいでしょ」
「家康って、やっぱり優しいんだね」
…何言ってるの。
ほんとわけわかんない。…けど、今日も可愛い。
不意に向けられた満面の笑みに、赤くなる顔を背けた。
すると、すかさず三成も参戦する。
「迦羅様、どうぞ」
いつも可愛らしい迦羅様ですが、今日は一段と美しい。
何でしょう?
胸のあたりがこう、締め付けられるような気がします。
酌をしようとすると、嬉しそうに盃を差し出す迦羅の手を家康が制し、三成に向かって言った。
「お前がやると、台無しになる」
三成は一瞬寂しげな顔をしたが、それを見た迦羅は三成に盃を持たせ、酌をする。
「迦羅様からお酌して頂けるなんて…」
「三成くんも、呑もうよ!」
にっこりと微笑む迦羅の顔を見て、三成は嬉し涙さえ浮かべている。
「ほんと、空気読めない」
家康はぼそりと呟く。