第3章 赤い微熱(真田幸村/微甘)
先に支度を終え、迦羅の部屋に声をかけにいったが、
城門で待っててくれと言われ、待っている。
どんだけ支度に時間かかんだよー
やっぱり女って面倒だなぁ…なんて考えていると、
「ごめんね、待たせて」
やっと迦羅がやってきた。
迦羅が新しい着物を着ていることはすぐにわかった。
「格好…変じゃないかな?」
うすく頬を染めた迦羅が尋ねてくる。
変なわけねーだろーが
いつも何着てたって可愛いに決まってんだろ
「何もへんじゃねーよ」
素直な感想は言えず、俺は笑いながらそう言い迦羅の頭を撫でた。少し不満気な迦羅の顔が見えたが、指を絡めて繋ぎ、引いていく。
「そういえば何処へ行くの?」
「少し歩くぞ。疲れたら言えよ」
「あ、うん」
迦羅はそれ以上聞こうとせず、俺に従って歩いた。
他愛もない話しで笑い、言い合い、時間はあっという間に過ぎていった。
「ちょっと目つむってろ」
「なんで?」
「いいから言うこと聞けよ」
しぶしぶ目をつむる迦羅の柔らかな両手を引き、歩かせる。
「よーし、もういいぞ」
目を開けた迦羅は、辺りを見回して、うわぁ…と声をあげた。
目の前は湖が広がり、辺りは一面の濃い桃色の芝桜が敷きつめられている。迦羅が満面の笑みを俺に向けてガバッと飛びついてきた。
「すごく綺麗な所だね!」
素直に顔に出る迦羅の瞳は、キラキラして、この景色よりも数倍綺麗だー。
目の前で次第に迦羅が頬を染めていく。
勢いで俺の胸に飛び込んできたくせに、照れているらしい。
「顔、真っ赤だけど?」
意地悪く言ってやると顔を背けた。
「んだよ、こっち向けよ」
顎をすくいまつ毛が触れるほどの距離で迦羅を見つめる。
ちゅ、っと額に口付けするー
照れながらも、俺の背に回す手にきゅっと力を込める。
俺のほうがもうダメだ。
「かーわい」
自分も照れ隠しでそう言い、ほんのり色付いた唇を塞いだ。
絡めていく舌に更に熱を感じ、だんだんと口付けは深くなっていく。
「…ん…っっ」
苦しそうに吐息を漏らす迦羅に、俺はようやく唇を離した。