第3章 赤い微熱(真田幸村/微甘)
部屋の襖を開けると、今日は清々しい晴天。
温かな陽射しが気持ち良く、んんーっと背伸びをした。
「よー」
耳に馴染んだ幸村の声が聞こえたほうへ顔を向ける。
片手を上げて歩み寄ってきた。
うん、今日もかっこいい!
心の中で言ったつもりが、口からダダ漏れだったらしい。
「お前なー…」
照れているのか額に手を当て赤い顔をしている。
「ご、ごめん!つい、ぽろっと…」
謝ってはいるんだけど、照れている幸村が可愛くて笑ってしまう。
目の前までやってきた幸村に、むにーっと頬をつままれた。
「ったく、この口は」
つまんでいた手を離して幸村が縁側に腰を下ろす。
私も一緒に隣に座った。
「今日はいい天気だな」
空と同じくらいに清々しい幸村の声が通る。
ここ数日、幸村が忙しそうに仕事をしていたことを思い出し
「こんな所に居ていいの?」と尋ねた。
くるりと振り返った顔は眉間に皺を寄せている。
「何だ、不満なのかよ」
「そんなわけないでしょ!昨日まで忙しそうにしてたから…」
私が気を遣って尋ねたのだと理解したのか
幸村はバツの悪そうな顔をした。
それから私の今日の予定を聞き、何もないとわかると幸村は笑顔を見せた。
「天気もいいし出かけるぞ」
そう言うと支度を促し、自分も部屋へ戻って行った。
幸村と二人で出かけるなんて久しぶりだなぁ。
わくわくしながら身支度を整える。
あ、今日はこれを着て行こう。
いつだったか城下の反物屋さんで一目惚れした生地で作った着物。
まだ袖を通していなかったし、ちょうどいい。
…幸村が気付いてくれるかどうかは
「ふふっ、期待しないでおこう」