第22章 愛は二人だけの世界（上杉謙信／甘々）

謙信様は私の顎を持ち上げたままじっと見つめ、動かない。

「あ、あの…謙信様？」
この間が堪らなくもどかしいんですけど…
「・・・・」
「・・・・」
わけのわからない沈黙ですらドキドキして、頬が熱くなる。


何だか恥ずかしいのに目を逸らせない。
「何故赤くなる？」
「だって、そんなに見られたら…」
「お前も同じようにしただろう？」
仕返しだと言わんばかりに笑みを浮かべる。

「もうっ！」
あまりの恥ずかしさに、顎を持ち上げる手から逃れて胸元に顔を埋めた。

「拗ねるな」
今度は優しい声でそう言いながら、頭を撫でる。
悔しいけれど…謙信様には勝てないな。




少しすると頭を撫でる手が止まった。

「そろそろ時間か」

あ…もう夜が明けきってしまったんだ。
皆起きる時間だよね。
そう思いながらも、謙信様の身体に回した腕が離せない。
何だか、離したくない。
ずーっとこうしていたい。


「…朝なんか来なければいいのに」

無意識にぽつりと、素直な気持ちが呟きに変わった。