第22章 愛は二人だけの世界(上杉謙信/甘々)
朝の訪れとともに、私は謙信様の腕の中で目覚める。
毎日毎日、一日が幸せな温もりで始まる。
薄っすらと目を開けると、謙信様の少しはだけた胸元が見えた。
あー…目覚めからドキドキするよ…
背中に回された腕も、頭上に感じる寝息も、そして必ず絡まってる足も…意識せずにはいられなかった。
起きてしまえばこの温もりが離れるから、少しでも夜明けが長ければいいのに。
このまま、離れたくない。
謙信様の背中に腕を回してぎゅーっとしがみつく。
頬を寄せる胸から聞こえる心音が、次第に速くなっていることに気付いた。
謙信様、もしかして起きてる?
そっと顔を上げてみるけれど、謙信様は目を閉じたまま静かな寝息を立てている。
綺麗な顔…。
サラサラの明るい髪も好きだし。
普段のクールな謙信様も好きだけれど、こうして見る寝顔も可愛いし、抱かれる時の強引さも好きだし。
ってこんな朝っぱらから何考えてるの!
ひとりで勝手に恥ずかしくなって、顔が赤くなっていくのがわかる。
するとこのタイミングで謙信様が目を開け、私に視線を下ろす。
ー!!?
目が合って堪らず顔を逸らしてしまった。
「穴が開くかと思ったぞ」
「えっ??」
思わず顔を上げると、謙信様はわずかに目元を染めている。
「あまり、見てくれるな」
え?
もしかして…照れてるの?
寝顔を見られて、照れてる?
か、可愛い…!
胸がキュンと締め付けられた。
「おい、ニヤけるな」
「ごめんなさい」
口では謝っているけれど、どんどん顔が緩んでしまう。
「言っていることとやっていることが違うぞ」
「そ、そう言われても…」
謙信様が可愛いから、なんて言えないよね。
「反省の色が見えんな」
ふと鋭い目つきになった謙信様に顎をすくわれ、一瞬のうちにその目に吸い込まれた。