第21章 穏やかな愛、激しい恋(織田信長/甘め)
夜になり、私は天主でひとり信長様を待っていた。
会議が長引いているのか、待っている時間が長く感じる。
信長様がお昼寝していたせいで会議が遅れるなんて…
「ふふっ」
何だかおかしくて、可愛くて、笑っちゃうな。
でも、目覚めた時の信長様は何か様子がおかしかったっけ。
居なくなるな、なんて。
私が何処かへ行ってしまう夢でも見たのかな。
そんなこと…あり得ないのに。
こんなにも信長様を好きになって、愛されて、今更離れられるわけがないよ。
だから、そんな夢を見せたくないな…。
「信長様、まだかな」
刻々と過ぎていく時間に、ひとりの寂しさが襲う。
布団の準備をして、少しだけ横になってみる。
ほのかに信長様の匂いがする…。
それだけで、何だか胸の奥が熱くなってしまう。
信長様の匂いは…安心する…
次第に瞼が重くなってくるけれど、起きて待ってなくちゃ。
おかえりなさいを言わなくちゃ。
まだ眠っちゃ…だめ…
そう思いながらも、淡い信長の匂いに抱かれた迦羅は、その瞼を持ち上げることが出来なくなった。
ー随分と会議が長くなってしまった。
俺のせいだがな。
会議の最中やけに秀吉がニヤニヤしながら俺を見ていたが、恐らく迦羅の膝枕で寝ていたのを見たからだろう。
何も恥じてはいないが、憎たらしい顔であった。
それにしても、迦羅を待たせてしまったな。
天主の襖を開け、いつも通りに声をかける。
「今戻った」