第21章 穏やかな愛、激しい恋(織田信長/甘め)
いつもの返事がない。
しかしその姿をすぐに布団の上に見つけた。待ちくたびれて眠ってしまったか…。
そのまま布団へ行き、端っこで眠る迦羅の背後にぴたりとくっついて横になる。
不思議なものだ。こうして迦羅の体温を感じれば疲れなど何処かへ消え去ってしまう。
眠る身体に腕を回し、更に密着する。
どうでも良いが、無防備にも程がある。
何度か寝返りをうったのだろう。夜着の裾ははだけ、白い足が露わになっている。
「…嫌がらせのつもりか」
湧き上がる情欲をどうにも出来なくなり、露わになった滑らかな肌に手を這わせていく。同時に晒された首筋に噛み付いてみると、迦羅が小さく身じろぎをした。
「ん…っ」
反応するような声を出すが目は覚まさない。
惚れた女が安心して眠っているのは結構なことだが、つまらん。
誘うような姿に刺激された俺の身体が満足しない。
足を絡めながら耳を食み、首筋を舐めあげ、胸元へ無理やり手を忍ばせる。
「んぁっ…やっ」
さすがにその刺激を受けた迦羅が甘い声を漏らし、目を覚ました。
起こしたことを悪いとは思わん。
しかと目覚めて、この俺を感じなければ満足など出来んからな。
「信長様…な、何を」
「起きていろと言ったはずだが?」
「あ…ごめんなさい…」
「駄目だ。許してやらん」
昼寝をしたおかげで、まだまだ眠れそうにもない。
すっ、と迦羅の腕が俺の着物の胸元を掴み、潤んだ目で見上げる。何かを訴えるような、縋るような、そんな熱を帯びた目をしていた。
なるほど…貴様もこの俺が欲しいか。
だが、その口から聞かねばな。
「何だ、言ってみろ」
そう言うと、迦羅は着物を掴む手を片方離し、俺の頬を撫でた。
「もっと…たくさん愛してください」
薄っすらと頬を染めて愛を囁く貴様が愛しい。いくらでも、嫌という程に愛してやろう、貴様が俺を欲しいと言うのならば。
いつか言ったはずだ。
俺は貴様を心底愛している。
この身が果てても構わぬ程度には、な。
そして愛する傍らで…俺はまた貴様に恋をしているのだー。
完