第18章 魔王の誓い(織田信長/悲甘)
瞼越しに、うっすらと光が射している。
とても長い、長い夢を見ていたような気がする…。
重い瞼を少しずつ上げる。
その瞬間、慌てたような声を出して、女の人が走り去って行く音が聞こえた。
「大変ですっ!…迦羅様が!」
しっかりと目を開けているけれど、何だか頭も、身体も、とても重くて。僅かに指先を動かすことがやっとみたい。
勢い良く襖を開けて数人が駆け寄ってきた。
「安心したよ、良かった」
「本当に心配したぜ」
「まだ本当じゃないんだから、大人しく寝てなよ」
と皆安心したように微笑んでいた。
そうか、私が寝込んでいたから心配してくれたんだ。
でも…
「あの…お世話になりました。ご心配をおかけしたようで」
礼を告げると、皆気にするなと笑ってくれた。
「ところで、私は何故寝込んでいたのでしょう?」
皆、キョトンとした様子を見せる。
「覚えてないのか?」
「…ええ、何だか良く覚えていなくて」
頭の中は、霞がかかったようにモヤモヤしていて、何だかすっきりしていない。
「あんた、斬られたんだよ」
斬られた?
そう言えば何となく背中が熱くて、痛いような気がする。
「あなた方が助けて下さったんですね、本当にありがとうございました」
再びお礼を告げると、そこに居た皆の顔が曇るのがわかった。
「おい、信長様に…」
「わかってる」
小声でやり取りした後、部屋に残った人が怪訝そうに私の顔を覗き込む。
「お前、身体は大丈夫か?」
「ずっしりと重いような気がしますが、あまり痛みはひどくありません」
「そうか…」
複雑そうな顔で、私から視線を逸らした。