第18章 魔王の誓い(織田信長/悲甘)
それから二月が過ぎていた。
「どうやら西国が動き出したようです」
「西国が起こした謀反、やはり敵の将は小者のようですね」
「数はおよそ一万だ」
まったくいい度胸だ。
名だたる武将も持たぬ小国が、たかが一万の兵で織田に刃向かうとは。
「東国はどうなっている」
西国が動き出したとなれば…
「はい。東国は相変わらず動きを見せていません」
「何だと?」
同時に持ち上がった謀反ではなかったのか?
西国と東国、織田を挟みうちにするつもりかと思っていたが。
あるいは方々で仕掛け、織田軍を二分し兵力を分断させるつもりだったのかと。
「畏れながら、東国がまったく動いていない今、まず西国を封じてしまうべきかと」
当然だ。
秀吉の言う通り、動きのない東国を待つつもりはない。
「まずは西国だ。この俺に謀反など無謀なことであったと思い知らせてやろう」
「織田の兵は五千。秀吉、家康、俺と共に来い」
「御意。間もなく兵は整います」
五千で十分だ。
今は動かぬとていずれ東国ともぶつかる。小者相手に無駄に兵を使うこともあるまい。
ーそして七日後、織田軍は西へ向け進軍した。