第2章 キノコパニック(ゾロ)
二人共何だかちょっと本気になってる気がしなくも無い空気にユナはどうしたものかと考える。
「おいユナ」
『…はい!』
ユナの方には振り向かず背中越しにゾロは続ける。
「おめェもウソップ達と一緒にその解毒探しに行け」
『え、でもルフィが…』
「こいつはおれが相手をする」
おれの獲物だと言うゾロにその言い方じゃルフィと変わらないよと内心思ったが口に出す事はしなかった。
『分かった、じゃルフィは任したわ!』
そう言うとユナは空へと舞い上がる、ルフィが視界の片隅でそれを確認するが、もうユナを追いかける気は無いようでゾロと睨み合ったまま動かない。
ゾロも気配でユナが離れた事を確認するとどちらとも無く駆け出し、衝突と共に砂塵が舞い上がった。
離れていても感じる空気の振動にユナは驚きを隠せない。出来ればこれからもあの二人は敵に回したくは無いなと考える、そもそもそうなったとしてもユナは仲間を傷付ける事は絶対にしないのだが。
ルフィ達から十分な距離を取ったところでユナは森を見渡す、木々が密集して生い茂る森の中でウソップ達を見つけるのはやはり無理だと諦めると、瞳を閉じ意識を集中させる。
風を伝い目的のものを探す、まるで映像が早送りで流れているかのように伝わる中でユナはウソップ達を見つけた…その手にはピンク色のキノコが握られている。
──キノコを見つけたんだとユナはひと息つくと、風に乗せて声を届けた。
『ウソップ、チョッパー、そのまま真っ直ぐ行って!砂浜にルフィがいるわ!』
「うお⁉︎な、なんだ今ユナの声が聞こえなかったか⁉︎」
「おれも聞こえたぞ!」
今この場にいるはずの無い人物の声にウソップ達は動揺するが、聞こえた仲間の声を信じて真っ直ぐに砂浜を目指す事にした。
暫く森を駆けていると目的の砂浜が現れた。
「──いた!おーいルフィ…とゾロ⁉︎」
森を抜け目にした光景にウソップもチョッパーも言葉を失う。
目の前では何故かルフィとゾロが戦っていたのだ。