第4章 ☆依存する程に(エース)
───……
──夢を見た。
私が独り暗い空間で立ち止まっていると、麦わら帽子を被った男が私の手を取り光へと導いてくれる夢。
”一緒に行こうぜ…お前はもっと世界を見るべきだ”
ニカッと笑う男は太陽の様に眩しくて、繋がれた手は陽だまりの様な優しい温もりだった──。
──……
ふっとユナの意識は浮上した。
目を開ければ眩しいほどの朝陽が窓から射し込んでおり、慣れない光に目を細めながらユナは部屋を見渡した。
見慣れた天井に鼻をつく微かな薬品の匂い…ユナの意識が次第に覚醒して行く。
あぁここは医務室か。
あれからいつの間にか寝ちゃったのか…昨日の事を思い出し、伸びをしようとしたところで左手の重みに気が付いた。
正確には何かに掴まれ動かせなかった。
何だろう…?
徐ろに視線を左手へと滑らせれば、そこにはベッドに突っ伏して寝息を立てているエースがいた。そしてそのエースの右手はしっかりと私の左手を握っている。
もしかしてずっと握ってた…?
懐かしい夢を見たのはエースのおかげか。
メラメラの実の所為かは分からないが、人より高く感じるエースの体温は私に安心を与えてくれる。
それは懐かしさもあり陽だまりの様でもある温もりで、私はその温もりを全身で感じたくてエースによく抱き付いていた。