第4章 ☆依存する程に(エース)
ユナは熟睡するエースを眺めた。
側から見たら寝苦しそうな体勢だが、食事中に寝る癖のあるエースにとってはいつもの事だ。
ご飯の夢でも見ているのか時折口が動いている。
幸せそうな顔のエースを見て自然とユナの口元が綻ぶ、しかし直ぐに昨日の悪夢が脳裏を過った。
──エースが目の前で殺される夢──
例え離れ離れになってもエースが自由に生きてさえいてくれればそれでいい。
けど──
もしこの先エースがいなくなる事があれば…
この温もりを手放さなければならない日が来れば…
私は──……
私はそれに耐えられるだろうか。
その時…私は私でいられるだろうか。
恐らく私は──……
ユナの顔が微かに翳る。
もう二度と同じ過ちは繰り返さない、もう二度とあんな思いはしたくない──もう…二度と…。
思い出すのは自分の過去の過ち。
どんなに月日が経とうとも決して忘れる事の無い私の罪。
無意識の内に左手に力が入った。
この優しい温もりを守る為なら私は──
──総てに背いても構わない。
fin.