第4章 ☆依存する程に(エース)
頭ではそう考えるのに体はユナの方へと歩き出す。
「………」
何となくだが今、ユナを一人にしたくないと思った。
エースは近くにあった椅子をベッド脇に引っ張ってくるとそこに腰を下ろした。
ベッドに頬杖をついてユナの顔を眺める。
無意識にいつもの癖でユナの頭を撫でればユナが微かに嬉しそうに笑った。
その仕草にエースは肩の力が抜ける。
…ホントにこいつはこうされるのが好きだな。
ユナは何時も頭を撫でると嬉しそうに笑う、初めは何となく撫でていたがユナが嬉しそうにするのが嬉しくてエースもよく頭を撫でるようになった。
まさかここまでユナと一緒にいるようになるとは思わなかった。
初めこそは衝突ばかりしていたのにいつの間にかユナといるのが当たり前になっていた。しかもユナとは出逢ってまだ数ヶ月しか経ってないのにもうずっと昔から一緒にいる様な感覚だ。
ユナと一緒にいるのは苦痛では無い、寧ろユナが側にいると心地いい。
それは何故かは分からないが、ふわりと笑うユナの笑顔が、俺の名を呼ぶ澄んだ声が、俺に安心を与えてくれる。
心があったかくなる、そんな感じだ──。
けど…さっきの心臓を鷲掴みにされた様な心苦しさ、あの感覚は何だったんだろォな…。
──生まれて初めての感覚だった。
ユナの毛先を弄りながらエースは考える、だが考えたところで今のエースにはその感覚の正体は分からない。
「ふ…ふぁあぁ〜〜」
普段使わない頭を使ったせいか睡魔がエースを襲う。瞼が次第に重くなるのを感じながらエースはふとユナの手に目が止まった。
布団から出たその手が何となく寂しそうで徐にその手を握る。何時もより冷たく感じるユナの手に少しでも自分の体温が伝わればいい…そんな想いを込めて握り締め、エースは襲いくる睡魔に身を委ねた──。