第4章 ☆依存する程に(エース)
こいつは何時もそうだ…大丈夫じゃないくせに大丈夫と言う。それは口癖なのか強がりなのか、或いは本当に大丈夫だから言っているのか…何にせよ今は立ってるのもやっとの状態のくせに大丈夫と言うユナに腹が立った。
──いや、頼って貰えない自分にも腹が立ったんだ…だから自然と口調もキツくなってしまった。
「うるさい、黙って運ばれろ…この意地っ張り」
『〜〜〜っ』
言って直ぐ八つ当たりもしてしまった自分を反省するがユナはそれ以降大人しくなったから結果オーライとしとこう。
それから他愛も無い話をしながら二人は医務室へと向かった。
医務室に着く頃にはユナは静かに寝息を立ており、エースはユナを起こさない様にそっとドアを開けると目に入った光景に唖然とした。
ベッドから落ちた布団に床にシミ跡を作る点滴の針、その横には呼吸器も転がっていた…明らかにベッドから飛び出た跡だった。
「どんだけ慌ててたんだよ…」
エースはベッドにユナを寝かすと再び散らかった医療器具に目を落とした。
「…一応ナースを呼んでくるか」
目を覚ましたユナは見た所大丈夫そうに見えたが立ってるのも辛そうな状態だったし、念の為診てもらうに越した事は無いだろう。
エースはそう考え部屋を出ようと踵を返した…その時。
『……ないで…』
「…ん?」
声が聞こえ目を覚ましたのかとユナの方を振り返るが、目を閉じたままのユナを見る限りどうやら寝言だったらしい。
エースは再び足を進める。
『…か…ないで…』
「………」
気の所為か? エースは足を止めてユナの顔を覗き見る。だがそれ以降ユナが寝言を言う事は無かった。
行かないで──
確かにそう聞こえた。
寝言だったしもしかしたら聞き間違いかもしれない、だからさっさとナースを呼びに行って戻って来ればいい。