第4章 ☆依存する程に(エース)
されるがままのユナの肩に顔を埋めるようにして抱けば、初めこそは驚いていたユナだったが直ぐに優しくあやす様に背中に手を回して来た。
ユナの温もりを全身で感じてやっと心の底から安心できた、泣くつもりは無かったのに目頭が熱くなる。
いつの間に自分はこんなに弱くなったのだろう…今迄仲間が大怪我を負う事はあったがこんな感覚は初めてだ。
…心臓がギュッと締め付けられる。
まるで心臓を鷲掴みにされてる様な、息苦しくは無いのに只々心臓が苦しい…そんな初めての感覚に戸惑っていればユナが心配気に名を呼んできた。
──そうだ、今はユナに言う事がある…エースはぐっと気持ちを奥へと押しやると顔を上げた。
「……親父から聞いた…」
その一言でユナは察したようだった、一瞬ユナの体が強張ったのが分かる。
名残惜しく思いながらもユナから体を離し真っ直ぐにユナを見詰めた。
親父から聞いたユナの能力。聞いた時は驚きはしたもののそれは特にどうでも良かった、それよりもユナに自分を犠牲にする能力の使い方をして欲しく無い。
そう思ってユナに約束を持ち出せば渋々ながらも努力すると返された、肯定はしてくれなかったが努力すると言ってくれただけマシだろう。
ユナは俺に負けず劣らず中々の強情だ…苦笑いしながらエースはポンポンとユナの頭を撫でた。
──それから無理をして医務室を抜け出して来たに違いないユナを強制送還する為、横抱きで運ぼうとすればユナが抗議の声を上げた。
大丈夫だから降ろせと言うユナにほとほと呆れる。
少しは頼ってくれてもいいじゃねェか。