第4章 ☆依存する程に(エース)
何故か一方的に悪者扱いされているがユナが今の状態に陥ったのは元はと言えば自分が原因だ、喧嘩はしてないにしろ否定出来ない事実にエースは押し黙る。
それを見た仲間は肯定と取り、やれやれと肩を竦めた。
「まぁそんな深刻な顔すんなよ、ユナは意地っ張りだが謝ればすんなり許してくれるだろ」
「そーそー、ンな思い詰めんなって」
バシッと仲間の一人がエースの背中を叩く。
「痛って…」
「ま、気が向いたら来いよ」
痛がるエースをそのままに、今日は可愛子ちゃんいるかな〜、そんな話をしながら仲間達は夜の街へと消えて行く。
誤解はされたが何とか誤魔化せた…仲間を騙した事に少しの罪悪感を抱きながらエースは仲間達を見送った。
──静まり返った甲板を再び夜の静寂が支配する。
「……そろそろユナんとこ戻るか…」
最後にもう一度エースは暗い海へと視線を移した。
夜風が頬を撫で帽子を揺らしていく──その時、遠慮がちに扉の開く音が響いた。
また誰か出掛けるのか、何気無く扉の方を振り向いたエースは目を見開いた──そこに居たのは、この二日間眠り続けていた少女だった。
「──っユナ…!」
『あ、エース…良かったいた…』
扉に寄り掛かりながら立っているユナは今にも倒れてしまいそうな程弱々しく見えた。
エースは堪らずユナの元へと駆け寄る。
「…っなに出歩いてんだよ‼︎」
「まだ安静にしてなきゃダメだろ‼︎」
──違う、こんな事を言いたいんじゃない…っ
本当はユナが起きたら言いたい事があった…俺なんかを助ける為に勝手に犠牲になってんじゃねェよって、俺なんかの為にお前が傷付く必要はねェんだよって…怒ってやりたかった──
『…私ならもう大丈夫よ、それよりエースは大丈──っ!』
言いたい事は山程あったがユナの顔を見たら、声を聞いたら、体が勝手に動いた。
ユナの言葉を遮りユナを抱き締める。