第4章 ☆依存する程に(エース)
───……
月明かりが射し込む薄暗い部屋にエースはいた。
静まり返ったこの部屋には、薬品の匂いと一定リズムで鳴る機械音だけが木霊している。
そんな中エースはそっとベットで眠る少女の髪を撫でた。
月明かりに照らされた少女の肌はいつもより青白く見え、ピクリとも動かない瞼に何とも言えない不安だけが心中を渦巻く。
もう丸二日…ユナは眠り続けたままだ。
二日前…エースの首を狙った賞金稼ぎに人質として捕まったユナ。
ユナを助ける為に賞金稼ぎを倒したエースだったがその時に大怪我を負ってしまった。
致命傷とまではいかなかったがそのままでは危なかっただろう、その傷をユナが能力を使って治してくれたのだ。
”こいつの能力は自然を操る能力だ…こいつの一族はそう言う一族らしい”
親父から聞いて初めて知ったユナの能力。
悪魔の実の力ではなく自然界のものならば意のままに操れるその能力は時としてリスクも伴うらしく、今回エース自身の治癒力を高め傷を治したユナは代償として自身の治癒力が著しく低下した。
ユナ自身も酷い怪我をしていたのに治癒力が低下すれば当然回復にも時間が掛かる。
だからユナは未だに目を覚まさない。
悲痛な思いでエースはユナの頬に触れた…僅かだが体温を感じる事ができた。
大丈夫、ユナは生きてる。
そう自分に言い聞かせるのはこれで何度目だろう。
何度言い聞かせてもどうしても昔の事がフラッシュバックする、突然いなくなった…幼き頃の兄弟の事が。
「早く目を覚ませよユナ……」
最後にユナの頭をひと撫でするとエースは医務室を後にした──。