第3章 プレゼント(サンジ)
「あ、ありがとユナちゃん…でも何でまたコレを?」
『んふふ、それはね──』
「あーーっ‼︎ ワシの店が‼︎」
一際大きな声に振り向けば竜巻から避難していた人々がぞろぞろと戻ってきており、その内の一人が瓦礫の前で膝をついて崩折れていた。元はそこに店があったのだろう…ユナの竜巻の所為で今では見るも無残な瓦礫の山となっていた。
「あー‼︎ 俺の店もだ…!」
「私の店もよ…‼︎」
次々あがる被害の声にギクリとサンジは居心地が悪くなっていく。取り敢えずこの場を離れようと提案すればユナはどうして?と首を傾げる、そんなユナの手を取り「いいから」とサンジとユナはこっそりとその場を後にした。
暫く歩き市場から離れたところで二人は立ち止まる。ここまでこれば大丈夫だろう…サンジが市場の方を振り返ればツンツンと服の裾を誰かに引っ張られた。
「…どうしたユナちゃん?」
「ねむたいサンジ……おんぶぅ」
目を擦りながら言うユナは本当に眠たそうで既に半分うとうとしていた。本当に今日のユナちゃんはどうしたんだろう…仕草や行動が完全に子供のそれだ。
ユナがこうなった原因は分からないがこのままにしとく訳にもいかず、サンジはユナの前に背を向けて屈むと「どうぞお姫様」と背に乗る様に促した。
最早子供の相手をしている気分のサンジはユナを背負うとメリー号に向けて足を進めた。泥棒騒動で結局買い出しは出来なかったが仕方ないかと諦める、それに今はきっと市場の修繕で大忙しだろう…船に残ってる食材で工夫するかとサンジはタバコを吹かしたのだった。