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短編集 【ONE PIECE】

第3章 プレゼント(サンジ)


「そんな物騒なもン…レディーに向けてンじゃねェよ…!」

カランカランと金属が地面に落ちる音がすると次いでドサリと何かが倒れる音がした。

間近で聞こえる知った声と肌に感じる温もりにユナは恐る恐る目を開くと、太陽の光に反射してキラキラ輝く金色が目に入った。

「大丈夫かいユナちゃん?」

片手でユナを守る様に抱き寄せて泥棒男の顔面に蹴りを食らわしたサンジがユナの顔を覗き込む。

暫くサンジの髪に魅入っていたユナは我に返るとふわりと微笑んだ。

『うん、だいじょうぶ。ありがとサンジ』
「──っ、い、いや…どう致しまして」

ユナの不意打ちの笑顔に若干の動悸が隠せないサンジは思わず顔を逸らしてしまう、そんなサンジを不思議に思うがハタとある事を思い出したユナは『あっ』と声を上げてサンジの腕から抜け出した。

「ど、どーしたんだユナちゃん?」
『かみぶくろ! かみぶくろどっかいっちゃった!』
「紙袋…? あァ、もしかしてこれかい?」

サンジの靴跡がクッキリと顔面に残ったまま伸びている泥棒男には目もくれず、辺りをキョロキョロ探すユナにサンジは片手に持っていた紙袋を差し出す。

『あ! それ! …どうしてサンジが?』

手渡された紙袋を受け取りながらユナが聞けばサンジはタバコを吹かしながら答えた。なんでもユナが落としたのを見たサンジは紙袋が風に飛ばされそうになったところをキャッチしたのだとか。

それを聞いたユナはサンジにお礼を言うとガサガサと中身を確認する。

「いったい中身はなんだい?」

興味本位で聞けばユナは満面の笑みでサンジを見上げる、そして──。

『はいっ、サンジにあげる!』
「え……」

突然渡された紙袋に戸惑いながらも受け取るとサンジは中身を確認した。

「これは…?」
『サンジなんかげんきなかったから、これたべてげんきだして?』

紙袋に入っていたのは小瓶に入った黄色い飴玉だった。どうやらユナは悶々と悩んでいたサンジを見て元気が無いと思い態々コレを買いに行っていた様だ。

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