第3章 プレゼント(サンジ)
考えてみれば最近仲間になったユナと一緒にお酒を飲むのは今回が初めてだ、酒に弱いとかは聞いていなかったから普通に乾杯したが…もしも酔っ払っているのなら大丈夫だろうかと、ナミが心配を口にすればゾロがお酒を口にしながら応える。
「…仮にそうだとしても、あのグルまゆが一緒なら何とかすンだろォよ」
確かに常に女性を最優先に考えて行動するサンジならユナの異変もすぐに気付くだろうし、対処も出来るだろう。ナミはそう結論付けるとゾロの側まで近付いた。
「それはそうと──あんたは飲み過ぎよ!」
「ぐへ…!」
ゴッと鈍い音が響き渡る。もう何杯目か分からないお酒を口にするゾロにナミが拳骨をお見舞いしたのだ。酒には目がないゾロは目を離すとすぐこれだとナミはため息を吐いたのであった──。
一方その頃、市場に食材を探しに来たサンジは困惑していた。先程来た市場なので道に迷う事もなくすんなりこれたし、特に困る事は無かった…だが、問題はそんな事では無い。サンジを困惑させている問題はサンジの右手にあった。
何が問題なのかと言うとそのサンジの右手の先には栗色の髪の少女…ユナの左手と繋がっているのだ。そう、つまりサンジとユナは今まさに仲良くお手て繋いで歩いている状態なのだ。
「あ、みてみてサンジー! きれいながらす!」
サンジを引っ張りながら出店に並ぶガラス細工を指差し、ユナはキラキラと笑う。手を繋いでいる事もそうだが普段ユナはこんなはしゃぎ方はしない、そもそも子供扱いされる事を嫌っているのだ…こんなあからさまな態度は取らないだろう。現に先程来た時はこんな態度はしていなかった。
いつもと様子の違うユナに困惑しながらもいつもは見せないユナの違った一面が更にサンジを苦しめる。
「く……っ、このままじゃおれの心臓がもたねェ…!」
胸元を服の上から掴みサンジが苦しんでいれば、それに気付いたユナが心配そうに覗き込む。
「サンジだいじょーぶ?」
ほんのりと染めた頬にコテンと首を傾げて心配げに見詰めてくるユナを目の当たりにすれば、もうサンジのハートは限界だった。