第3章 プレゼント(サンジ)
「大丈夫だよユナちゃん、このくらい問題ないよ」
『でも…』
「それにこんな重たい物をレディに持たせる訳にはいかないからね」
尚も言い募ろうとするユナにサンジは優しく断る、こんな感じで今までの荷物は全てサンジが持っているのだ。前からサンジの紳士振りには感心してたが、ここまでされるとレディファーストに慣れていないユナは逆に居心地が悪い。
『でも折角二人いるんだし私も持つわ…じゃなきゃ私、直ぐさまメリー号に”一人”で帰るから』
超が付く程の紳士のサンジなら例え明るい日中でも女性を”一人”で帰らすのはプライドが許さないだろうと、一か八かの賭けで言えば案の定サンジは困った様に眉を寄せた。
「はは…、ユナちゃんには敵わないな…じゃ、こっちの荷物を持ってくれるかい?」
そう言ってサンジが差し出したのは紙袋一つ、どうやらこれ以上は渡す気は無いらしく片手に紙袋、もう片方に酒樽を担ぐとサンジはユナに振り向いた。
「じゃ、帰ろうか」
笑顔で言って踵を返すサンジに、ユナはまだ内心納得してい無かったが今回は仕方が無いかと諦めると、クジ引き屋のおじさんに軽く挨拶をしてサンジの後をついて行くのだった。
メリー号に帰って初めに声を掛けて来たのはナミだった。
「おかえりー…あら、何それ?」
「ただいまナミさん、あァこれはユナちゃんがクジ引きで当てたんだよ」
サンジが肩に担いでいた酒樽を下ろすと、目立つそれにみんなが集まって来た。
「お、酒か…」
「スゲェなユナ!」
『偶然よ偶然…ゴーティア産のお酒だって』
「ゴーティア? 聞いた事無いわね…ロビン知ってる?」
「…わたしも聞いた事無いわね」
頬に手を添えながらロビンが答える。ナミとロビンが知らないのであればもうこの船で知っている者はいないだろう…まぁ知らない島なんてこの世界にはごまんとあるのだから特に気にする事もないだろうが。
「なんでもいいじゃねェか、とりあえず飲もうぜ」
「何言ってんのよ、まだお昼よお・ひ・る!」
酒には目がないゾロが提案すればナミにぴしゃりと言い放たれてしまう。