第3章 プレゼント(サンジ)
時刻はお昼前、カランカランとベルの音が賑わう市場に響き渡る。
「おめでとう! 2等賞だ‼︎」
スキンヘッドの人の良さそうなおじさんが満面の笑みでユナ達に言ってきた。
──今、ユナとサンジはとある島の市場に来ている、前の島で食糧に余裕を持って出航したのだがルフィの食欲の前では数日も持たず、航海途中に偶然発見したこの島に急遽買い出しに来たという訳だ。
そこで大量に買ってくユナ達に、ある店のおばさんがオマケだとくれたのがクジ引きの券だった。またいつこの島に来るか分からないから取り敢えずして行こうかとクジ引きに来てみれば、まさかの当たりが出たのだ。
「凄いねユナちゃん」
『うん、私もビックリ』
ガラガラから出た赤玉を見詰めながらユナはサンジに応える、クジ引きで2等が当たるなんて…今後の運を全て使い果たした気もしなくはないが、取り敢えず当たった事に喜びクジ引き屋のおじさんに賞品は何かを尋ねる。
「2等はこちら! この島では滅多に手に入らないゴーティア産のお酒だよ!」
ドドーンと言う効果音と共にクジ引き屋のおじさんは何処からともなく酒樽を出すが、ゴーティアと言う聞き慣れない言葉にユナとサンジの反応はイマイチだった。
「なんだいあんたらゴーティア知らないのか?」
クジ引き屋のおじさんの言葉にユナとサンジは頷いた、おじさん曰くゴーティアのお酒は絶品らしく死ぬ迄に一度は飲んどくべきだとか。
「へぇ、それは楽しみだな」
『ゾロが喜びそうね』
麦わら一の酒豪はゾロだ、何の気なしにユナが言えばサンジが一瞬眉を寄せた。
「マリモなんて海水で十分だろ」
サンジの呟きにユナは苦笑する、ゾロとサンジは仲があまり良くない、と言うか犬猿の仲だ。それはまだ一味に入って日の浅いユナにでも分かる程だった、仲間なのにそこまで仲が悪いのは何か原因があるのだろうか…そんな事を考えているとサンジが酒樽を抱え出した。
『あ、待ってサンジ私が持つわ』
サンジは既に大きな紙袋を二つ持っているのだ、流石に酒樽も持たす訳にはいかないと、今だに手ぶらのユナが申し出ればサンジは笑顔で応える。