第2章 キノコパニック(ゾロ)
ユナの囮作戦は見事に成功したが、倒れたまま動かないルフィにユナが近付く。
「あ、おいまだ近付かない方が…」
ウソップの心配な声が上がる中ユナはルフィの顔を覗き込むとパチっと目を覚ましたルフィと目が合った。
『あ、良かった気がつ…』
「うがァーー!」
雄叫びと共に起き上がったルフィに解毒が効かなかったのかとウソップ達が焦る。中でも一番早くに反応したゾロが刀に手をかけ走り出す、風はいつの間にか止んでいた…間に合うか──、そう思ったその時。
「あァーー、よく寝たァーー!」
ルフィの呑気な声が響いた。
「お、ユナじゃねェかおはよう」
『……うん、おはよ』
「ん?あれ、おめェらどーかしたのか?」
自分を囲んで集まる仲間にルフィが問えば「てめェは…」と頭上から声が降ってきた。
「まぎらわしいンだよ‼︎」
ゴッと拳と共に総ツッコミを受けたルフィは状況が分からず暫く頭を悩ましていた。
その後チョッパーの診察で無事解毒された事を確認すると一件落着と一同胸を撫で下ろす。
「じゃあそろそろ帰ろうぜ、ナミ達も多分心配してるだろうし」
今日は何だか疲れたなァと零しながらウソップは歩き出す、その横をルフィが「なんでおれこんなに怪我してンだ?」とチョッパーに手当てして貰った箇所を不思議に見ていた。
どうやらルフィは毒キノコを口にした時の記憶が無いようで、ウソップがどれだけ大変だったのかを力説していた。
その様子を見てやれやれと溜め息を吐きながら歩き出そうとしたゾロをチョッパーが呼び止める。
「あ、ちょっと待てゾロ…手当てしねェと」
「ンあ?別に構わねェよこんな傷」
「よくねェよ!おれは船医だぞ、医者の言う事は聞けよ!」
チョッパーの言う通りゾロの傷は見てるこっちが痛い程には酷かった。
『そうだよゾロ、傷はちゃんと見て貰った方がいいよ』
そう言えばゾロに軽く睨まれた気がしたが気のせいにする事にした。
「あ、ユナは大丈夫か?怪我してねェか?」
『うん、大丈夫』
後ろで手を組みニッコリ笑って言えばチョッパーはそっかと再びゾロへと向き直る。
チョッパーの剣幕に負け渋々ながらもゾロは手当てをされる事となった、包帯を巻きながら絶対取るなよとチョッパーが念を押すが、生返事のゾロを見る限りそれは叶いそうには無かった。