第2章 キノコパニック(ゾロ)
「…よし、終わったぞ」
救命道具をリュックに直しながらチョッパーが言う、それを確認したユナはじゃあ帰ろうかと踵を返す。
「──だな、……だがその前にユナ」
『…ん?なに──いっ⁉︎』
ゾロは立ち上がりユナに近付くと徐ろにその腕を取った。
「おめェもちゃンと診て貰え」
『…なんのこ──いっ痛い痛い!』
何の事だとシラを切り通そうとすればゾロに掴まれた腕に力を入れられた、ルフィに受けた傷が悲鳴を上げる。
「おい!ユナも怪我してたのか⁉︎」
二人のやり取りの一部始終を見ていたチョッパーがユナに駆け寄る、ゾロに掴まれた腕を見ればユナの白い肌に反して、一部が紫色に腫れ上がっていた。
「なんだよひでェ怪我じゃねェか!」
すぐさまチョッパーは手当てに取り掛かる、その様子を見たユナはゾロを恨めしく睨む。
ユナとしてはルフィのせいで怪我をしたなんて仲間に、ましてや本人には知られたく無いので誤魔化したのだが、ゾロはそんな事知ったこっちゃない、黙ってるのが悪いと軽くいなされた。
「……ちょっと骨にヒビが入ってるかも知れねェから暫くは安静にしてろよ」
チョッパーの診断を受けどおりで痛かった訳だとユナは一人納得した。
「まったく…ゾロもユナも次から怪我したら絶対言えよな」
「…こいつはともかくおれは隠して無かったろォ」
親指でユナを指しながらゾロが言えばチョッパーが「ゾロだってたまに隠す時あるだろう」と答える、それを聞いたユナがボソッと呟く。
『…ゾロだって人の事言えないじゃない』
「あァ?おれは隠してたンじゃねェ…治療の必要が無かっただけだ」
『私だって必要無かったわよ』
ヤイヤイと言い争う二人を見て治療に関しては要注意人物だなと、チョッパーの心のブラックリストに二人の名は刻まれたのだった。
それから暫く言い争いが続いたがいい加減にしろと怒るチョッパーの一言で終わる事となる。メリー号へと帰る途中ゾロが反対側に行こうとするのをチョッパーと一緒に止めながら、みんなが待つ船へと3人は足を進めるのであった──。
fin.