第2章 キノコパニック(ゾロ)
「ま、まァおれが外すなんて事あり得ないしな!」
「おれも万全の準備をしておくぞ、別に名医なんてものじゃねェんだからなコノヤロォがっ」
『うん…じゃ決まりだね』
そう言うとユナは今も尚戦いを続けているルフィとゾロの元へと歩き出した。
近付くに連れて刀と拳とがぶつかる衝撃波が強くなる、それを肌で感じながら二人までもう少しという所でユナは立ち止まった。
背後を振り返ればウソップとチョッパーが頷く、それに応えユナも頷くと前へと向き直る。そして──、
『ティエラ(疾風)!』
「ンな…!」
「うお⁉︎」
突然吹き荒れた突風にルフィもゾロも足を止める。
『──ルフィ!』
突風の中、聞こえてきた声に振り向けばユナの姿が確認出来た、両手を広げルフィを見据えている。
『お肉ならここよ…!』
まさか自分の事を肉と言う日が来ようとは誰が予想出来ただろうか、ユナは可笑しさに自嘲の笑みを浮かべた。
ユナの姿を確認したルフィの目の色が次第に変わっていく…ゆっくりと、だけど確実にユナとの距離を縮めていた。
「…にく……」
「あ、おい!」
進むルフィを止めようとゾロも踏み出そうとするが、いかんせん風が強くて進めない…ルフィは普通に進んでいることから恐らく意図的に風を調節しているのだろう。
「…っンのバカ、何考えてンだ」
苛立ちながらも動くことが出来ないゾロは事の成り行きを見守るしかなかった。
「肉…ウマそうだな…」
『……ひっ』
じゅるりとヨダレを垂らしながら近付くルフィに若干引きながらも何とか踏み止まる、肉食動物に狩られる獲物はこんな気持ちなんだろうなと今なら分かるとユナは思った。
そしてユナの目と鼻の先にルフィがやってくると、狙いを定め一気に飛び掛った──。
「にーくーーー‼︎」
『──っ、ウソップ!』
「あァ任しときな──”必殺ウサギダケショット”!」
「…んっ!うぐ⁉︎」
ユナ目掛けて大口を開けて飛び掛ったルフィだったが、ユナの背後にいたウソップのパチンコによってウサギダケを口に突っ込まれた…その衝撃でルフィは後ろへと倒れる。
「…やったか…?」
『ルフィ…?』