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【黒執事】壊れた貴女を看取るまで

第6章 なか


「え、でもこんなにもらって悪いわ」

アイリーンはくるりと後ろを振り向き、シェリーに申し訳なさそうにする。
シェリーはそんなアイリーンをよそにもう1つのトランクを開けると綺麗な水色のドレスを取り出してシワを伸ばしていた。

「なに言ってるのよ。今日はあなたの誕生日でしょう?」

「あっ、本当だわ」

「忘れてたの?」

くすくすと笑ってアイリーンに近づくとアイリーンの手を取り、立たせて普段着ドレスを脱がせる。
普通なら侍女がやることだが、仕立て屋でもあるシェリーには容易い仕事だった。
最後に背中の交差しているリボンを通して結ばれるとすごく綺麗になった。
シルク素材のロングドレスは甘くなりすぎないストレートタイプで、ところどころに宝石が散りばめられている。肩から胸の辺りはレース素材で女らしくしており、アイリーンの魅力が全面的に引き出されている。
次にシェリーは白色の豪華な髪飾りを取り出してアイリーンの頭につけた。

「これで完璧ね」

「すごいわ…」

「誕生日おめでとう」

アイリーンが覗き込む鏡の奥でシェリーがにっこりと笑う。
アイリーンはシェリーに抱き着くと頰に軽くキスを落とした。

「あなたは最高よ」

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