第6章 なか
「どう?」
「私じゃないみたいね…」
恍惚とした表情でアイリーンは鏡をじっと覗きこむ。赤い唇になったことによりいつもよりもいっそう肌が白く見える。
シュリーは広げたカバンを軽くまとめて化粧台の上に置くと引き出しにカバンの中身を入れ始めた。
「全部あげるために持ってきたのよ、その反応ならあった方が良さそうだしね」
「ありがとう、今日はたくさん食べていって」
カバンの中身を引き出しに移し終えるとシュリーはファンデーションを取り出して、パフをアイリーンの頬にのせた。
「なに、これ」
「ファンデーションって言って、肌を綺麗に見せるためのものよ」
それからしばらく、アイリーンはシュリーにメイクを施されていた。
そして1時間が経ち、鏡を再びみると全く違う自分がいるようだった。
全体的にナチュラルにまとめられたメイクはアイリーンの黒い髪とよく似合っており、ぐっと大人に近づいた。