第5章 番外編 ー執事が考える罰ゲームー
「フィニ、あなたはガーデンに行ってハーブを摘んできてください」
私はフィニにカゴを渡した。
厨房の隅でだらしなく寝るシェフのバルドとさっきから食器を割りまくっているメイドのメイリン。
本当に使えない人たちばかりだ。
今日のメニューはお嬢様の好きなミネストローネとタコのマリネにしよう。
朝に入ってきたばかりのタコを茹で、マリネにする。そしてスープはゆっくりとかき混ぜながら火加減を調節する。
「そういえば、フィニ少し遅いですね」
「見てくるだか?」
「いいえ、私が行きます」
火を切り、私は鍋に蓋を置く。
お嬢様はちゃんと部屋にいるのだろうか。気になった私は途中の自室のドアを開けた。
「おや…これは…」
真っ白なベッドの上には何の影もなかった。
ーどこに行かれたのやら
私は自室から出る。すると耳元にお嬢様の猫のようなくしゃみが聞こえてきた。
「ガーデンから聞こえますね…、すぐにお迎えに上がらねば」
私は燕尾服を正して、つま先を左へとむけた。