第5章 番外編 ー執事が考える罰ゲームー
「ん…にゃ…」
私は頭の下を数回叩いた。
セバスチャンに首あたりのマッサージを受けてそのまま寝てしまったはずだから下にセバスチャンの膝があると思ったらない。
「にゃあ〜、にゃあ〜」
なぜか急に心にぽっかり穴があいたような気がして不安に押しつぶされそうになる。
セバスチャン、どこ?
私は飛び起きてドアノブを回し、廊下に出る。左にいけばバルドやフィニ、メイリンなど使用人の部屋で、右にいけば確か厨房などがあるはずだ。
セバスチャンと呼べば来るのだが猫の鳴き声しか出ない私は、セバスチャンと呼ぶことすら出来ない。
とりあえず右に曲がり進んでみると飾り気のないドアがあった。
プレートにはガーデンと書かれており、ここからガーデンに行けるのだろう。
ドアにある曇りガラスからちらりと蝶が飛んでいるのが見えて本能が行きたがらない訳がない。
嬉しそうに尻尾を揺らして私はガーデンに出た。
「ふっふふ〜ん、ふっふふ〜ん、ぼくは暴れん坊はっくしゃく〜」
ぶちぶちとハーブを雑に抜くフィニがガーデンにいた。
私は鳴こうとしたが自分の格好を思い出してそんなことは出来ないと感じた。
ーどうしよう…早く引き返して部屋に行きたいのに体が…
どう動くこともできなくなった私の体はガーデニングが施されたバラの陰に身を潜めていた。
すると鼻に蝶がとまり、鼻がむずむずしてくる。
「ふにゃっくしゅん!」
「あれれ?猫ちゃんかなあ?」
フィニがこっちへ近付いてくる。ドアに行こうとすればフィニに姿を見られることになりそんなことはごめんだ。
冷や汗がじわじわ出てくる。
ーあ〜〜!!助けて!