第5章 番外編 ー執事が考える罰ゲームー
猫化の魔法を学んでおいて正解でしたね。
私は膝の上で眠るお嬢様の髪をそっと撫でていた。
艶々の黒髪は私の手入れのおかげで柔らかく仕上がっている髪を触るのは気持ちよかった。
気持ちよく眠れているのだろう、さっきからずっと喉がゴロゴロとなっている。
「孫にも衣装とはこのことなんですかね…」
なにも塗っていない薄いピンクの唇に細い華奢な腰。
ある意味猫みたいなお嬢様にはぴったりの罰ゲームだったかもしれない。
温かい血の流れる首。そっと頸動脈に手袋を外して指をあててみると血が巡っている感覚がある。
「ん…にゃあ…」
触られると気持ちいい喉元を触られてかお嬢様は体をくねらせる。
ふとふにゃりと和らいだ笑みを浮かべてまた静かに寝息をたて始めた。
黙っていれば可愛いのに。
小さな口から出る世界を罵倒するような言葉と声。貴女は決して私になびいてみせたりなんかしない。
私は思わず口に笑みを浮かべるとお嬢様がもぞもぞと膝で動く。
時計を見てみると夕食の準備の時間になりそっとお嬢様をベッドに横たわらせて布団を被らせる。
「美味しいご飯、作ってきますからね」
お嬢様の額に軽いキスを落として私は部屋を出た。