第5章 番外編 ー執事が考える罰ゲームー
私はセバスチャンの部屋に連れ込まれ、ベッドの上に座らされていた。
目の前に並んだ猫じゃらしや毛糸などの遊び道具が今だけ輝いて見える。うずうずとしてくるが私はここで遊び道具に飛びかかってしまうと負けた気がするから絶対に飛びかかったりなんてしない。
舌で歯茎の裏を舐めてみるとザラザラした感触が伝わってきたし、付けていた尻尾が外れたと思えば本物の尻尾が生えてくる始末で私はセバスチャンの呪いか何かは折り紙つきらしい。
改めてよく見て見るとセバスチャンの部屋にはなにもなかった。
ベッドをおりて、タンスの1番上の引き出しを開けると新しい燕尾服とシャツが入っており、2段目と3段目にはぎっしり一ミリの隙間もなく猫のおもちゃが入っていた。
するとドアノブが捻られた音がして私はびくっと全身を震わす。
「おやおや、人の荷物を荒らすとは。いけない猫さんですねえ」
セバスチャンが私の脇腹をさすってくる。動物が人に撫でられて気持ちよさそうにする理由が私には分かった気がした。
「にゃっ、にゃあ〜〜」
本能がもっともっと撫でてほしいと言って、セバスチャンの腕に顔を擦り付けてしまう。
でもセバスチャンの手はとても優しく私を撫でてくれる。
ずっと猫でもいいかもしれないと思う自分がいた。