第4章 いつでも
アイリーンはゆっくりと目を開け、体を起こす。
ついさっきまでの気だるさと熱っぽさは消えたがまだ体は重い。
ロンドンのタウンハウスかと思いきやいつものマナーハウスに戻っているらしく、いつもの自室のベッドに寝ていた。
腕を見ると鎖のあとがくっきりと赤くなっていた。
ドアノブが捻られる音がして扉が開く。
ワゴンを押してきたセバスチャンが体を起こしたアイリーンを見て少し目を見開く。
「おや、起きられていたんですね」
ベッドの近くにワゴンをとめて、黄色の小さい花柄のティーカップに紅茶を注ぐ。
それをセバスチャンはアイリーンに渡す。
アイリーンはそっと唇をティーカップの淵につけて軽くすする。
「お身体のほうは大丈夫ですか?」
「ええ、醜態晒して悪かったわ」
「いえ、お嬢様の乱れたお姿はとてもそそられるものでしたよ。私でなければ襲っているところです」
セバスチャンがアイリーンからティーカップを受け取り半分に減った紅茶に新しい紅茶を入れてアイリーンに差し出す。
アイリーンは窓を見ながら紅茶を一口含んだ。あったかい感覚が心を落ち着かせてくれる。
「…ふん、悪魔が」
吐き捨てるようにしてアイリーンは言う。
すっと目を細めてセバスチャンは笑う。