第4章 いつでも
アイリーンのすぐそばまで来るとミアはアイリーンの汗ばんだ顎をすくい、じっと覗き込む。
しかし、アイリーンの視界はすでにぼやけており、意識も朦朧としつつあった。手足が思うように動かず、からだにだるい感覚だけが伝わっていく。
「だらしない顔。今ならあなたに勝てそうだわ」
「…はあ…ねえ…この部屋でなにか…んぐっ」
ミアがいつの間にか手に持っていたビンをアイリーンの口にねじ込む。
アイリーンは甘くてとろとろしている液体を口にねじ込まれ、咽せ返りながらも勝手に喉にいれてしまっていた。
ビンがようやく空になり、ミアはアイリーンの口から離すと床に落とす。派手に音を立てて割れたビンの破片を拾い上げ、アイリーンの頰にあてる。
「あなたが起きる前から後ろでずっと中国から取り寄せた手足が痺れる香を焚いておいたの」
頰にあてられたビンの破片が頰に赤い線をつくる。
「んあ…まっ…て…なに…はあ…飲ませたの」
「さっき飲ませたのは媚薬よ。どうせなら快楽によがるあなたの顔を見てから殺そうと思って」
「っう…んん…」
何もしていないのにアイリーンの中には熱くて甘い塊みたいなのが埋めいていた。
「なによその目」
ミアがアイリーンの腹を足で蹴る。
鈍い痛みでさえ快楽になってしまい、アイリーンは苦悶の表情を見せる。
「なんで睨むの。今の状況わかってる?」
「…分かってるわよ」
出来る限りの精神力を頭に集中させる。
「セバスチャン!」