第4章 いつでも
扉の前でアイリーンはジョンの腕から解放されるとジョンは銀色のドアノブをひねった。
部屋は割と豪華な作りになっており、ワインレッドの絨毯や金色の模様が入ったクリーム色の壁紙など休憩室にはちょっと贅沢な作りになっている。奥を覗いて見るとダブルサイズのベッドが置かれており、真っ白なシーツにはシミすらない。
ジョンに誘導され、部屋に入るとガチャリとドアがしまった。
「実は私…こうしてジョン様と2人きりになることを夢見てましたの」
アイリーンはジョンに抱きつくと上目遣いでジョンを見る。なに1つ変わらない顔色のようだが、すっかり興奮しきっているのを肌で感じた。
ジョンはアイリーンを抱きしめ返すと顔を近づける。しかしそれを手で制したアイリーンは口の端をゆっくりと持ち上げて微笑む。
「そんなに焦らないでくださる…まだお時間はありますわ」
ネクタイに手を伸ばし、するするとほどき始めるアイリーン。すっかり今の自分の役に惚れ込んだようだった。
するとジョンの指がアイリーンの後ろのドレスのリボンに手をかけて解く。
あっという間にゆるくなった腰回りは警戒心のカケラなど微塵もなかった。
「もう待てない。早く君にキスがしたい」
赤くなったジョンの顔がアイリーンの首筋にうまり、キスを落とす。
ミミズに這われたような気持ち悪さにアイリーンは思わずジョンを突き返そうとするが、体つきのいいジョンの胸板の前では弱々しい反抗にしかならなかった。
アイリーンが反抗している間にもジョンは鎖骨から胸元へと唇を這わせていく。
しかし急にその唇の動きが止まる。
刹那、目の前に覆いかぶさっていたジョンが後ろ向きに倒れぼんやりと黒い影が見えた。
「見つけたわよ。私のワンちゃん」
聞き覚えのある声が耳をよぎる。
「まさかあなた、うっ?!」
誰かに後ろをとられて力なく床に倒れ込む。
確かに瞳には美しい金髪が映っていた。