第4章 いつでも
ジョンの周りには5人の女性がいた。
どの女性もスタイルがよく、露出がとにかく多い。アイリーンはそんな環境にうんざりしていた。
「君たちはほんとうにラッキーガールだね、なんせ僕に会えたんだから」
ジョンはだいぶ酒が回っているのかさっきから笑いが止まらない。
周りの女性もどうにか気に入ってもらおうと一緒になって笑っている。
「おや」
ジョンのスーツにシミが広がっていく。じんわりと広がるシミを眺めているジョンと女性たちは辺りを見渡して犯人を探していた。
するとひとり、青ざめた顔をしたアイリーンが不自然にシャンパンがつたっているグラスを持っていた。
「あ…ごめんなさい、私…」
か細い声を出してアイリーンはジョンのシミの広がる太もものあたりのスーツをハンカチで拭いていた。
「君かい。僕のスーツにこんな汚れを作ったのは」
怒った声が聞こえてアイリーンが顔をあげる。
「白く細い腕…薄いピンクの唇…綺麗な瞳…流れるような髪…汚れを知らない肌…君、名前は」
アイリーンの手首を力強く掴み、ジョンは自分のほうへと近付ける。酒臭い匂いに頭がクラクラしそうになりつつもアイリーンは出来る限りの淑女を演じる。
「え、あ、えーと…アイリーンです」
「君はまるでカナリヤのようだね。美しい」
ジョンの瞳がキラキラと輝きを増し、手首を握る力がどんどん強くなる。するりと手が腰に伸びるとアイリーンは悪寒した。腰を仰け反らせセバスチャンの方を不安そうな表情で見つめる。
「君には恋人がいるのかい」
「はい、素敵な方ですの」
それを聞いた周りの女性たちが背後から負のオーラを出す。早く帰れと言わんばかりの目つきと態度にアイリーンはさらに悪寒した。男を目の前にした女は本当に怖い。