第4章 いつでも
「女王陛下、ご無沙汰しておりました」
英国式の優雅なお辞儀をすると女王陛下も返してくれる。その後ろではセバスチャンもお辞儀をしていた。
「お嬢ちゃんに会えて嬉しいわ、とってもステキなドレスね」
「とんでもない、陛下こそステキなお召し物を毎日着ておられるではありませんか」
アイリーンは目元の力を緩めて笑う。
「そして2人の仲睦まじいことね」
口元に扇子をあててうふふと笑う女王陛下はセバスチャンをちらりと見る。
「私もアルバートと一緒に腕を組んだりしたかった…ああアルバートおおおおお」
「ボク、アルバートダヨ、泣カナイデエリザベス」
後ろの従者と思わしき男が女王陛下の今は亡き夫のアルバートのパペットを動かしている。
「…女王陛下はなかなかクセのある方なのですね」
「いつものことよ。気にしたら負け」
「ところでお嬢ちゃん、あの事件についてはどうなのかしら」
女王陛下は目元の涙を拭いながら鋭い視線を投げかける。
「…犯人の目星はついてあります。今日にでも明日にでもまたご報告にあがります」
アイリーンは女王陛下の瞳をじっと見つめて言う。
「あらそう。じゃあまた紅茶でも用意しておくわね」
「ありがとうございます」