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【黒執事】壊れた貴女を看取るまで

第4章 いつでも


煌びやかなシャンデリアがいくつも飾られている天井とシャンデリアの光が綺麗に映えるよう設計された壁紙された空間は流石、王宮のダンスホールだと言える。
たくさんのテーブルには色々な料理や飲み物が置かれており、どれも一流物だ。
くるくるとせわしくウェイターがお盆を持ち、飲み物を運んだり忙しそうだ。
誰もが綺麗に着飾り、自分を1つの芸術作品のように仕立てあげている。今日だけはアイリーンもその仲間だ。

「ここに腕を」

セバスチャンが腕を絡ませられるようにと空間を作る。今日だけの恋人なのだ。
アイリーンは小さくうなずくとその空間に腕を通す。しっかりとした腕の感触がある。

「さあ行きましょう、マイレディ」

「ええ」

2人の芝居が始まった。笑顔の仮面を貼り付けたアイリーンはこのパーティに見惚れている少女のように瞳をきらきらと輝かせていた。そして少女のようにしている恋人を優しい笑顔で見守る好青年。遊び慣れたような、一途のような訳の分からない危ない雰囲気を漂わせているセバスチャンはもちろん周囲の目を惹く。

「ねえ、あれはなに?」

「あれはあなたの大好きなイチゴで作られたものですよ。綺麗ですね」

「1つ頂いてくるわ」

アイリーンはピンクのドレスの裾を軽く掴んで床を引きずらないようにする。そしてテーブルの上に置かれたイチゴのケーキとフォークを持つとくるりとセバスチャンのほうを向いた。
するとすでに貴婦人の数人に声をかけられているセバスチャンが笑顔のまま談笑をしている。心にムカムカした感情が浮かび上がった。

「あなたあなた」

ゆっくりとした足取りで戻ってきたアイリーンは無邪気な笑顔で貴婦人と喋っているセバスチャンに話しかける。

「どなたとお話ししているの?」

「少しそこで話しかけられただけですよ」

その言葉を聞いた貴婦人たちは扇子や手で口元を隠して立ち去っていった。
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