第3章 従順
エリはトランプをシャッフルしながらなんの罰ゲームにするかを話していた。
「じゃあ僕が勝ったら今日の夜は添い寝してくれないかな?」
「私が勝ったら帰ってね」
アイリーンと自分の前に交互にトランプを配る。
「では、私が勝ったらお屋敷に戻ったときに1つなにかご褒美を下さいね」
「おやセバスチャンじゃないか」
セバスチャンがアイリーンの横に立つと2人から同じ枚数分だけトランプを取る。
「ふん、いいわよ。で、なんの勝負する?」
「ここは単純にババ抜きでどうでしょうか?」
「いいね。じゃあアイリーンスタートで始めよう」
「了解」
アイリーンがセバスチャンからトランプを1枚取る。揃ったものが無かったのか無表情のまま手札に加える。
「失礼します」
今度はセバスチャンがエリからトランプを取る。すると自分の手札から1枚とり、エリからもらったトランプと一緒に机の中央に置く。
「セバスチャンは運があるね。一歩リードじゃないか」
余裕な笑みをしたエリはアイリーンからトランプを取る。しかしその余裕の笑みは一瞬消える。
ーえ?
首をかしげたアイリーンはセバスチャンの手札からトランプを1枚取る。ピクリと眉毛が動く。
「おや、お嬢様どうされましたか?」
してやったりの顔をしたセバスチャンが腰をかがめてアイリーンを見下ろす。