第3章 従順
古びた本の香り。パラパラとページをめくる音だけが図書室に残る。
筈だった。
ー全然落ち着かない!!
まだ止まない鼓動と微熱。
いくら本を読み進めても止まらないどころかよりはっきりと自分の鼓動が聞こえてくる。
この症状は何なのだろうか。
胸を打つ鼓動に、嬉しさのまじった高揚と熱。嫌な感じは全くなく嬉しさが溢れて止まらない。
顔の筋肉が緩みきったような気がする。
するとアイリーンはあるページの文章に目を止めた。
『You know you’re in love when you can’t fall asleep because reality is finally better than your dreams. By:Dr. Seuss』
「…ふん、馬鹿馬鹿しい」
「そんなこともないんじゃない?」
「エリ?!」
ドアの静かに閉じるとエリはアイリーンに歩み寄る。
「さ、次は僕とトランプするよ〜、負けたら僕の言うこと聞いてもらうってことで」
エリに手首を掴まれ談話室へと連れてかれるアイリーン。
手からこぼれ落ちた一冊の本は別のページを開いた。