第3章 従順
ほっと息をついてアイリーンは椅子を前向きに戻す。
「また酷い顔をして…なにかあったのですか?」
セバスチャンがアイリーンの額にハンカチをあてて汗を拭き取る。
「…寝不足みたい。今日は早く寝たいわ」
「承知しました」
ワゴンからティー皿、ティーカップを取り出し、紅茶をいれる。
「本日のアフタヌーンティーはロゼ社のウバ、ファーストフラッシュとお茶受けには梨のコンポートをご用意しました」
丁寧な説明をしながらセバスチャンはアイリーンの目の前にティーカップと梨のコンポートがはいったガラスの器を置く。
梨の爽やかな匂いがアイリーンの頭を少し落ち着かせる。
スプーンを手にとり、梨を食べる。じゅわっと果汁が溢れ出す。
「…美味しい」
「恐縮です」
「で、明日の話は?」
ピタリと動作を止めるセバスチャン。
「少々お嬢様には酷かもしれませんが…心してお聞きくださいませ」
その内容を聞いたアイリーンは大きく瞳を開けた。