第3章 従順
「…今度のパーティにあの子が来るの?」
金髪を人差し指にくるくると巻いて、タバコを口にくわえる。
子分と思わしき人物がタバコの先端に火をつけると一歩下がる。
「はい。ヤツから聞いた情報ですんで絶対っすよ」
子分は自信有り気にうなずく。
「ふうん…」
タバコを口から一旦離してゆっくりと息を吐く。すると白い煙がゆらゆらと上へと登っていく。
「楽しそうっすね」
「そりゃ楽しみよ。だって大好きなあの子だもの」
美女はタバコを灰皿にこすりつけ、ゆっくりと両手を広げると青い瞳をすっと細める。
「ねえ、来て」
子分は美女の元へと歩みよる。
「あの子が来るの…やっと…この手で…」
美女の手がするりと子分の頰を滑り、顔を寄せる。
「今日の夜は楽しみましょう?」
洋燈(ランプ)に照らされた金色は蜂蜜のような色になり、ベッドの上へと広がった。