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【黒執事】壊れた貴女を看取るまで

第2章 犬


「ふう…疲れた…」

アイリーンはぐったりした様子で書斎のイスに座っている。
どうやらミアの見送りには少々骨が折れるらしく、髪を心なしかボサボサのように見える。

「お疲れ様でございます」

セバスチャンはにっこりとした笑顔でアイリーンの後ろに周り、髪をくくっていたリボンをほどいて髪に櫛(くし)を通す。

「で、話って?」

「こちらをご覧ください」

胸ポケットから手紙を取り出すと机の上に置く。そしてまた髪を2,3回とぐと、リボンで髪をくくり直す。
アイリーンは蝋印を確認すると丁寧に封を開けて手紙の中を読む。

《可愛いお嬢さんへ
ご機嫌麗しゅうかしら、私の可愛いお嬢さん。最近会ってなくて私、少しさみしいわ。
この間、グレイトフィップスと一緒にお庭を散歩していたらとても珍しいバラが咲いていたのよ。あなたにも見せたいわ。今度いらし
たときは必ず見てちょうだいね。

私がこの手紙をあなたに書いた理由は、今度、宮殿で開く予定の動物愛護パーティーにぜひ来て欲しくて書きました。ほら、お嬢さん
は動物がお好きでしょう?たくさん動物もご用意させるからぜひ来てくださいな。そのときにお話をしましょう。
大英帝国女王 ヴィクトリア》

封筒の中にある2枚のチケットをアイリーンは眺めると再び机の上に置いた。

「セバスチャン。明日の朝にロンドンに向けて出発するわよ」

「イエス、マイロード」
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