第1章 一輪の花
「あっ、おはようございますだ!お嬢様」
「…おはよう、メイリン」
アイリーンはさっきセバスチャンに頰にキスされたことがまだ気に食わないのか腕を組んだままつかつかと廊下を進んでいく。
「お嬢様?なにかお顔色が悪そうですだよ?大丈夫ですだ?」
メイリンがアイリーンの顔を見る。
「えっ、待ってメイリン。近い近い…あいたっ?!」
アイリーンのおでことメイリンのおでこが勢いよくぶつかる。
「もうこのメガネも度が合ってないですだね〜」
「あのねえ…メガネと喋ってるヒマあったら退いてくれないかしら」
「あああ!申し訳ねぇですだよ!」
メイリンはアイリーンの腹の上から退く。するとふわりとアイリーンの体が持ち上がる。
「メイリン、あなたはここで一体なにをしているんですか?」
「ひっ、せ、セバスチャンさんっ」
「あなたにはシーツの回収と洗濯を頼んだはずですが」